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button-only@2x 「石頭」には、こんな脳ミソが詰まっている

クレッチマーの性格分類でいうと、日本人には、粘着性性格の強いタイプが多いようだ。よくいえば、まじめで正直、粘り強く、礼儀正しい働き者。悪くいえば、思考も行動もワンパターンで、融通がきかない石頭である。

これは、何か一つのことをきわめるには非常に重要な要素であり、ある分野で成功する可能性を秘めている。が、半面、不器用なまでのきまじめさが、成功の足を引っ張る危険性も否めない。

「胸算用」ができない偏脳癖とは?

私の大学時代の先輩がその典型だった。非常に優秀で能力であり、まじめにこつこつと粘り強く研究を進める、根っこからの学者タイプだ。やがて助教授から教授へと階段を上っていくだろうと、だれもが自然に考えていた。

私が学位論文に着手したころ、この先輩も学位論文を書き始めた。彼のことだから、地道に集めたデーターを精巧に構築して、さぞすばらしい論文を完成させるに違いないと思いながら、やがて私は自分の論文を書き上げた。

しかし、先輩のほうはいっこうに終わる気配がない。完成度の高い論文に挑んでいるのかと考えた。論文提出には締め切りというものがないから、時間をかけて納得のできるものをし上げたほうがいいのだ。

しかし、それにしても同じころに着手したとは思えない遅れようだ。私は不思議に感じたが、どうやら先輩の粘着性性格が災いしていたようである。

書いている途中で新しい文献や外国研究論文などが手に入れると、それをチェックしないではいられない。すると、自分の結論に疑問が出てくる。論文を手直しsて、これで完璧だと思ったところで、また別の関連資料が目についてしまう。再度手直しをして・・・論文が大幅に遅れたのは、こういう事情だったようである。

ある段階で線を引いてとにかく書き上げてしまうという妥協ができない。新たな資料を手に入れて問題点が出てきたら、それを生かして別の論文を書いてみるという融通がきかない。

あきれるくらいのきまじめさである。

しかも、こういうタイプの人間は、付き合って楽しくはない。ジョークも通じないし、趣味もない。「仕事や勉強が趣味」になりがちで、周囲の人間に煙たがれ、疎まれやすい。この先輩もそうだった。

結局、助教授まで進んだものの、教授にはなれずに定年を迎えたと聞く。

性格が災いして、周囲の人間のバックアップが得られなかったのではないかと思う。

   脳に「ねばならない」という重石を置くな

ビジネス社会を渡っていくうえでも、性格は決定的に影響してくる。

実力だけで勝負できる芸術家や職人であれば話は別だが、組織には、同僚、後輩、上司などでいろいろな立場の人がいる。人間関係は絶対に無視できない

まわりの人に理解され、愛され、困ったときには手をさしのべてもらえるような魅力ある人間でないと、世の中を渡っていくのは難しい。

私は別に、出世することだけが人生だとは思わない。

しかし、先輩のように、充分な実力と能力をもちながら、不遇なまま現役を引退する人は少なくないのである。それが、性格に足を引っ張られた結果であるとすれば、こんなに残念なことはない。

日本人に多い、、粘着性性格の強いタイプは、どういうセルフコントロールを心がければいいのであるか。

このタイプは、たとえば昼食のときも、決まった定食屋しか利用しない。通勤電車の乗る時間、乗る車両、立つ位置も、毎日同じでないと落ち着かない。仕事も自分の決めた段取りに従って進めたがる。

どんな時でも100%の力を注ぐ完全主義者だから、ものごとに緩急をつけられない。

ちょっとしたミスは大目に見るという融通がきかないから、ささいな失策を頭ごなしに怒鳴りつける。完璧な仕事を望むために遅くまで残業するのは苦ではないが、部下もそれに付き合って早く退社できないのだという周囲に対する目配りができない。

こういう粘着性性性格は「ねばならない」という考えにとらわれすぎているのである。

「仕事はこう進めなければならない」「会社員とはこうでなければならない」「家庭人とはこうでなければならない」と、「ねばならない」というヨロイを着込み、身動きもままならず足元もおぼつかなくなった石頭である。

だから、惜しみなく努力するわりには、人望がなく、仕事の足を引っ張られる。損な性格だ。

ヨロイを脱ぎ、頭を柔らかくすることが必要である。

100%をを求めるのではなく、80%でよしとするのだ。私が説いてやまない「人生80%主義」である。

またしても、「それができれば苦労はしない」という声が上がりそうだが、熱意、まじめさファイトの方向をちょっと変えればいいのである。

たとえば、仕事をのし上げるためだけではなく、同僚や部下との信頼関係を築くために一生懸命になってみる。趣味のために時間と情熱をさいてみる。仕事なら仕事だけにすべてを注ぎ込んでしまいやすいから、とにかく仕事以外のほかのものに目を向ける柔軟性、しなやかな頭の切り替えが大切なのだ。それが脳を柔らかくする。