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button-only@2x 慢性疲労を一層する「超短時間」睡眠

 

電車でほんの10分うとうとすたり、会社の休憩室や喫茶店で短い仮眠をとったら、それだけで疲れていた頭がすっきり回復したという経験があるだろう。居眠りには、怠けているような、よくないイメージがある。しかし、オーバーヒートした脳の神経細胞を休ませるのが睡眠の役割であったことを思い出せば、効率よく頭を働かせるには、適度な居眠りがとても有効なのだ。

多忙な人ほど「よく眠る」わけ

国の重鎮である国会議員の方々も、議会中に居眠りを図っている。テレビの国会中継などを見ると、われわれとしては「なんて不謹慎な」「緊張感のない」と思う。しかし、長時間ずっと神経を張りつめて、脳が強いストレスにさらされているのは、好ましいことではない。国会議員と同様、分刻み、秒刻みでスケジュールを消化していかなければいけないタレントや企業幹部には、移動中の車の中など、ほんのわずかな時間があれば眠れる人が多いのというのもよく聞く話だ。

彼らは、一瞬も気の抜けない本番や仕事を完璧にこなすために、すきま時間をうまく利用して、適度に緊張した神経を休ませているわけである。

この方法は、一般のビジネスマンにも有効だ。

残業や徹夜が続いて、頭も体もボルテージが落ちているなら、思い切って、日中、仮眠をとってみたらどうだろう。疲れた頭のままだらだらと仕事を続けて、ふだんなら考えられないようなミスを頻発させるよりも、短い居眠りで心身ともにリフレッシュする方がよほど、賢明である。

もっとも、議員の場合は、だれも見ていないところでやってほしいものであるが。

居眠りは、あくまでも適度な時間であることが大切だ。うとうとして、気がついたらもう退社時間だった、というのでは弁解の余地もない。最短時間で頭の疲労回復を図れるように、自分でコントロールする必要があるわけだ。

居眠りは30分までは名医、40分だとニセ医者

では、適度な時間とはどのくらいなのだろう。短い場合なら、30分以内が目安だろうと私は思う。これは、熟睡に入る前の浅い眠りの段階に当たる。体が深い睡眠に入っていこうと準備をしている、いわゆる夢うつつの状態だ。意識がだんだん遠のいていき、入眠幻覚という幻を体験することがある。ここで目が覚めると、夢を見たような見ないような不思議な感覚を味わうはずだ。

ここで起きないと、やがて意識がなくなり、寝息が起こそうとしても感覚には覚醒しない。むりに起こしても寝目覚めが悪く、仕事の緊張感が取り戻すのに苦労することになる。悪くすれば、寝足りない不快な感じを抱えて頭も体もぼんやりしたまま、終業時間を迎えることになりかねない。

短時間居眠りの場合、ノンレム睡眠の深みにはまらないようにしなければならないのである。もし、居眠りに30分以上の時間を費やせるなら、この熟睡の時間が終わってから目覚めるようにするといい。

ノンレム睡眠の間は、脈拍も遅く、呼吸も深く、急速眼球運動も見られない。最近の研究では、レム睡眠のときには高等動物に特有の大脳新皮質が休み、ノンレム睡眠では原始的な脳といえる大脳辺縁系が休んでいるのではないかという。ノンレム睡眠とレム睡眠という種類の異なる眠り方が存在するのは、このような理由があるようだ。

ノンレム睡眠が終わって、浅い眠りであるレム睡眠があらわれたところで目覚めれば、目覚めもよく、頭も体も充分にリフレッシュされる。目安としては、二時間以内と考えてほしい。これより短かければノンレム睡眠の最中であるし、これ以上眠り続けてしまうと二回のノンレム睡眠に入ってしまう。

もう一度いうが、30分以内、二時間以内というのは、あくまでも目安である。神経が過度に興奮していて寝つけないときは、入眠までの時間も計算に入れる必要があるだろう。レム睡眠とノンレム睡眠のワンセットに、通常、どのくらいの時間を費やしているのかも、自分のペースを把握していなければならない。そのうえで、上手に居眠りができるようになれば、常時、疲れ知らずで脳をフル回転させることができる。